プリムラ

鬱蒼とした毎日と時折の思考

カノトイハナサガモノラ鑑賞記録

トニセンのTTT(Twentieth Triangle Tour)第二弾、カノトイハナサガモノラ見てきました。

TTT第一弾の戸惑いの惑星は、DVDで見たら(参戦してない)ハチャメチャに良くて本当に衝撃だった。TTT2は演出家の方(今回は御徒町凧さん)も違うくて、またどんな雰囲気になるのかつかめないままだったので評判を聞いて当日券チャレンジ(ヲタク失格申し訳ありませんカミっ子なんです)。

 

当日券、席がかなりいいと聞いてたので期待してたんやけど(その分電話は頑張った。38分で200回以上かけた)、たしかに良かった...まあ舞台でS席を自ら選んで取ったことがそもそもないけどな...(ケチ)

左側のかなり端っこ、けども本当にほぼ見切れなし、なんならこっちに来て階段みたいなところに座るシーンがあるんやけど、そんときはこれでもかと顔が見える。当日券バンザイやでこれは。

 

戸惑いの惑星は、もちろんヲタクにとって嬉しい要素はたくさん散りばめられてるんやけど、ヲタク以外にも勧められるような、演劇としての面白さが目を引いた。いままで見た舞台の中で1番だったかも。逆に今回の舞台は、「アイドル: 20th Century」が我々に向けたメッセージだった。本当に抽象的で解釈が難しいし、伏線らしい伏線も張られているような張られていないような...1回の鑑賞では解釈しきれんけど、けど私は彼らが伝えたいメッセージをしかと受け取ったと、胸を張って言えるよ。言葉では伝わらないことだってあるんだ。私が私なりに受け取ったもの、思ったことを、短いけれど記しておこうと思う。

 

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ライブハウスのようなところに坂本、長野、井ノ原の3人がいる。井ノ原の「ずっと言いたかったことがあるんだけど...なんだったっけ?」という発言を皮切りに、とりとめのない話をし、歌を歌い踊る。ライブハウスのようなところは"魂の発着所"と呼ばれているところで、すべての魂はそこから生まれ、そこに還っていく。3人も肉体はない魂。そこには支配人である"オーナー"がいて「お前らは死んだり生まれたりを繰り返してるんだ」と3人を諭す。オーナーはときたま3人の記憶を消す(これが死)が、3人は何度も魂の発着所に舞い戻る(輪廻転生)。

 

本当に具体的な言葉など何も出てこないと言っても過言ではない。上に書いたような輪廻転生という言葉も劇中には出てこないし、筋道立ったなにかがあるわけでもない、なにも答え合わせをしてくれない。

劇中歌はとりとめもない話の受け皿として歌われる。とりとめない話の話題は、「死」「言葉」「愛」「夢」「意思」「使命」、そして「アイドル」。

 

 

あーこれは3人の「アイドル」としての人生なんや、と途中で思った。この舞台の主題は「アイドルとしての3人の生き方」。誇張はされているが、舞台上の彼らは、彼ら自身の投影で。

もう一つの大きな題材は、「言葉って本当に伝わるの?」ということ。チキンを食べたいときは、チキンという単語を思い浮かべているのではなくて、その対象自体を思い浮かべているのではないか?

 

本当に最後の最後まで掴めず、一度幕が落ち、そこに「ザ・アイドル」とも言えるような、赤ちゃんから少年期、事務所入所期、デビュー期の写真が次々に流れる。やっぱりこの舞台、3人のアイドル性にフォーカスしてるんやと薄ぼんやりとした確信に変わる。なんかそれを見ていたら、こうやっていまだに「V6」だけじゃなく「トニセン」を大事にして来てくれたんだな、と感傷的になった。6人で歩いてきたのとはまた別に、3人でも歩いてきた。

 

最後に幕が上がり登場した3人は、紛うことなきアイドルだった。新曲「カノトイハナサガモノラ」を歌う彼らは誰にも否定させない正真正銘のアイドルとして歌い踊っていた。トニコンに来てトニセンを見ただけでは感じ得ない純度でアイドルを感じる。

 

帰りに「カノトイハナサガモノラ」の歌詞が掲示されていて、井ノ原が劇の終盤、オーナーに向かって優しい顔で言った言葉の真意を知る。

「アインホガトリツトウモ」

頭の中でアナグラムをもとに戻した瞬間、視界がぼやけた。幾千もの人間が使ってきた擦り切れた言葉を並び替えるだけで、こんなにも新鮮で特別で純度の高い言葉になるのか。大事なのは言葉自体ではなく、そこに籠もっている中身で。その「中身」を伝えるために、彼らは既存の「箱」を壊して作り変えたんだ。

 

帰り道、一人で泣きながら、新大久保駅までの道を歩いた。三宅健も言っていたとおり、これはトニセンからファンに向けてのご褒美だった。応援し続けたからこそもらえたし、理解できたご褒美。私なんかよりファン歴が長い、ジュニア時代なんかも知ってるような人はもっともっと心に響いたと思う。一緒に歩んできた時間が長ければ長いほど、大きくなるご褒美だった。

 

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あとは、オタク的に良かった点を少々。

  • 井ノ原快彦が登場した瞬間、佇まいにやられた。私トニセンの推しは井ノ原なんだと、オタク13年目で気づく。
  • 長野ソロ前、長野くん背後で長野くんにマイクを手渡す井ノ原快彦。見えないところで段取りをこなしてるのが垣間見えるのが、個人的に癖。
  • グラサン姿の長野博、こっちに来てめっっちゃ煽ってくる。笑いたいけどグラサンしてるからどこ見てるかもわからんくて我慢するしかない。長野くんがネタ要員だったのも昔が思い出されて、やっぱこの「長野博」像は、長野博の集大成なんだなと。
  • 坂本くんがこっち側で足を組んで座ったときに、タップシューズの裏が見えて、タップするんや!と気づく。坂本くんも、タップしてリーゼント風にセットしているところを見ると、坂本昌行の集大成なんやなと。
  • 2019年に井ノ原快彦のフライングが見れるとは思ってなかった。ここもよくわからないけど、もしかしたら集大成ポイントなのかなと。
  • とにかくトニセン歌がうまい。私は実は井ノ原快彦の歌い方が一番好き。
  • ハケるとき、手をふる坂本昌行と多分目が合ったけど、ドキッとしちゃってそらしちゃったな。

 

まあこんなもんで。ありがとう私の8月15日。